東京でM-TEERの治療を受けるには|病院選びで失敗しないポイント
東京でM-TEERに対応する病院を探している方へ向けて、治療の仕組みから病院選びの視点までを整理します。
僧帽弁閉鎖不全症と診断され、M-TEERに対応する病院を東京で探している方は少なくありません。M-TEERは開胸せずにカテーテルで僧帽弁の逆流を軽減する治療で、外科手術のリスクが高い高齢の方などの選択肢の一つとされています。
ただし全ての方に適するわけではなく、適応の判断には専門的な検査とチームでの評価が欠かせません。治療の仕組みや適応、受診から入院までの流れ、費用の考え方、後悔しない病院選びの視点までを順に見ていきます。
1. M-TEERとはどのような治療?僧帽弁閉鎖不全症へのカテーテル治療

M-TEERは正式には経カテーテル的僧帽弁接合修復術と呼ばれ、僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療の一つです。まずは対象となる病気と手技の概要から見ていきます。
1.1 僧帽弁閉鎖不全症とはどのような状態か
M-TEERを理解する出発点になるのが、僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、心臓が縮むときに閉じて血液の逆流を防ぐ弁です。この弁が閉じきらなくなると、左心室から左心房へ血液の一部が逆流してしまいます。
逆流が続くと心臓に負担がかかり、進行すると息切れやむくみといった心不全の症状につながります。心不全の患者さんの5人に1人が重症の僧帽弁閉鎖不全症を合併するとも言われており、決してまれな状態ではありません。放置すると生活の質にも影響しかねないため、逆流の程度に応じた早めの評価が大切になります。
1.2 M-TEERで用いるクリップの仕組みと手技の流れ
M-TEERは、クリップと呼ばれる小さな器具で僧帽弁の一部をとめ、逆流を減らす治療です。開胸せず、脚の付け根の血管から挿入したカテーテルを使って心臓の内側から処置します。
手技はおおむね次の流れで進みます。
カテーテルの挿入:太ももの付け根の大腿静脈からシースと呼ばれる管を入れる。
左心房への到達:右心房から心房中隔を通り、カテーテルを左心房へ進める。
クリップの装着:逆流の多い部位で僧帽弁の前尖と後尖をクリップで接合し、逆流の軽減を目指す。
処置は全身麻酔のもとで行われ、経食道心エコーで弁の状態を確認しながら進めます。クリップの数や位置は逆流の状態に合わせて調整されるため、一人ひとりの弁に応じた対応になります。
1.3 外科手術とM-TEERの主な違い
M-TEERと従来の外科手術は、体への負担のかかり方が大きく異なります。
どちらが適するかは病状によって変わるため、違いを中立に整理しておきます。
比較軸 | 外科手術 | M-TEER |
|---|---|---|
開胸 | 胸を開いて行う | 開胸せずカテーテルで行う |
心臓の停止 | 人工心肺で一時的に停止 | 心臓を止めずに実施 |
麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
入院期間の目安 | 比較的長くなりやすい | おおむね1週間前後とされる |
外科手術は弁をしっかり修復・置換できる一方で、体への負担は大きくなりがちです。M-TEERは負担が軽い反面、適応となる弁の形態には条件があります。どちらを選ぶかは、後述する検査とチームでの評価をふまえて判断されます。
2. M-TEERの治療が検討される主なケースと適応の考え方

M-TEERは全ての僧帽弁閉鎖不全症に行える治療ではありません。どのような方に検討され、どう適応を判断するのかを見ていきます。
2.1 M-TEERが適しているとされる患者の状態
M-TEERが検討されるのは、高度の僧帽弁閉鎖不全症があり、かつ外科手術のリスクが高いと判断される場合が中心です。
具体的には、次のような状態の方が対象となる場合があります。
高齢で外科手術の負担が大きい方
心臓以外に併存症を抱えている方
過去の手術などで開胸手術が難しい方
ただし、これらに当てはまれば必ず適応となるわけではありません。年齢が若く手術リスクが低い場合は、外科的な弁形成術が勧められることもあります。最終的な適応は、個々の弁の形態や全身状態をふまえて判断されます。
2.2 適応の判断に用いられる主な検査
適応の判断では、弁の形態や逆流の程度を画像で詳しく評価します。M-TEERが物理的に可能かどうかは、弁の状態を正確に把握できてはじめて見えてきます。
主に使われるのは次の検査です。
経胸壁心エコーによる逆流の程度の評価
経食道心エコーによる弁の詳細な観察
心臓CTによる弁と周囲構造の確認
これらの結果を組み合わせ、クリップで接合できる弁かどうかを検討します。一つの検査だけで決めず、複数の所見を突き合わせて総合的に判断する点が特徴です。
2.3 M-TEER以外の選択肢が検討される場合
M-TEERは有力な選択肢ですが、全ての僧帽弁閉鎖不全症に最適な治療とは限りません。逆流の程度や原因、全身状態によっては、別の方針のほうが適切なこともあります。
たとえば逆流が軽度から中等度にとどまる場合は、薬物治療や定期的な経過観察が選ばれることがあります。弁の形態によっては外科的な弁形成術・置換術のほうが根本的な改善を見込める場合もあります。紹介元の医療機関での継続診療が適切と判断される場合もあります。
大切なのは、M-TEERありきで考えるのではなく、複数の選択肢を比べたうえで納得して決めることです。
3. M-TEERの治療を受ける流れと入院期間の目安

実際に治療を受ける場合、どのような手順で進み、どのくらいの入院が必要になるのでしょうか。費用の考え方も含めて整理します。
3.1 受診から治療までの進め方
M-TEERは、受診したその日に決まる治療ではありません。適応を見極めるための評価を段階的に行い、チームでの合意を経て実施されます。
おおまかな流れは次のとおりです。
外来受診:症状や経過を確認し、これまでの検査結果を整理する。
各種検査:心エコーやCTなどで弁の状態を詳しく調べる。
ハートチームでの評価:循環器内科や心臓血管外科などが適応を検討する。
治療の実施:全身麻酔のもとでカテーテル治療を行う。
各段階で情報を共有しながら進めるため、患者さんが自分の状態を理解したうえで治療に臨める流れになっています。検査結果によっては、M-TEER以外の方針が提案されることもあります。
3.2 入院期間と退院後のフォローの目安
M-TEERの入院期間は、順調に経過した場合でおおむね1週間前後が目安とされています。開胸手術に比べて体への負担が軽く、回復も比較的早い傾向があります。ただしリハビリや薬の調整が必要な場合には、入院が長くなることもあります。
退院後は終わりではなく、外来での継続的なフォローが前提です。定期的な心エコーなどで逆流の状態やクリップの位置を確認し、心不全の管理を続けます。体調の変化を感じたときに相談できる体制が整っているかどうかも、治療後の安心につながります。
3.3 治療にかかる費用と保険適用の考え方
M-TEERは公的医療保険が適用される治療です。自由診療ではないため、費用の大部分は保険でまかなわれ、患者さんの負担は自己負担分にとどまります。
もっとも、実際の自己負担額は年齢や所得区分によって幅があります。高額な医療費がかかった場合には高額療養費制度を利用でき、一定の上限を超えた分が後から払い戻されます。上限額は所得区分で変わるため、具体的な金額は加入している保険者や病院の窓口で確認するのが確実です。
費用の見通しを早めに把握しておくと、治療そのものに落ち着いて向き合いやすくなります。
4. 治療前に知っておきたいM-TEERの注意点とリスク
負担の軽い治療とされるM-TEERにも、知っておくべき注意点があります。合併症と個人差の2つの観点から確認します。
4.1 治療に伴う主な合併症
M-TEERは体への負担が比較的軽い治療ですが、カテーテルを用いる以上、一定のリスクは避けられません。
頻度は高くないものの、次のような合併症が起こり得ます。
カテーテル操作に伴う脳梗塞
クリップや器具による弁の損傷と逆流の悪化
カテーテル挿入時の心臓穿孔
これらは頻繁に起こるわけではなく、経験を積んだチームのもとで慎重に管理されます。リスクをゼロにはできないからこそ、起こり得ることを事前に理解することが、納得したうえでの治療につながります。疑問は担当医に確認しておくとよいでしょう。
4.2 効果や適応には個人差がある点
M-TEERは全ての人に同じ結果をもたらす治療ではありません。逆流がどの程度軽くなるか、症状がどれだけ和らぐかには個人差があり、弁の形態や心臓の状態によって適否も分かれます。
治療を受けても、思ったほど逆流が減らない場合や、追加の治療が検討される場合もあります。だからこそ、事前の検査で適応を丁寧に見極めることが欠かせません。M-TEERが向く方もいれば、薬物治療や外科治療のほうが適する方もいるのが実際のところです。
過度な期待でも過度な不安でもなく、自分の状態に即した見通しを持つことが、後悔のない選択につながります。
5. 東京でM-TEERに対応する病院を選ぶ前に確認したいこと
東京にはM-TEERに取り組む病院が複数あります。どこを見て選べばよいのか、確認したい3つの視点を挙げます。
5.1 ハートチームによる診療体制があるか
病院選びでまず確認したいのが、ハートチームによる診療体制の有無です。M-TEERの適応は、循環器内科だけでも心臓血管外科だけでも決められません。両者に加え、麻酔科や検査を担う多職種が連携してはじめて、適切な判断が可能になります。
ハートチームが機能している病院では、複数の専門家が同じ症例を多角的に検討します。
専門医・多職種が画像や検査所見を共有し、カンファレンスで症例を検討したうえで、治療方針を再確認します。M-TEERに対応する病院を東京で探す際は、こうしたチーム体制が整っているかを一つの基準にすると判断しやすくなります。
5.2 専門医の在籍と画像・検査体制を確認する
M-TEERの質を支えるのは、専門知識を持つ医師と、それを裏づける検査体制です。
病院を比べるときは、次のような点を確認しておくと安心です。
循環器専門医や心エコー図専門医の在籍
経食道心エコーやCTなどの検査体制
不整脈や超音波の専門資格を持つ医師の有無
弁の評価には高度な画像診断が欠かせないため、検査設備と読影できる専門医がそろっているかは見落とせない視点です。専門医の在籍状況は、病院のウェブサイトや紹介元の医療機関を通じて確認できます。
5.3 紹介元医療機関との連携と術後フォロー体制
M-TEERは、治療して終わりではなく、その後の継続診療まで見据えて考える必要があります。多くの場合、患者さんは紹介元の医療機関から専門病院を受診し、治療後は再び地元の医療機関でフォローを受けます。この連携がうまく機能しているかどうかは、治療後の安心に直結します。
紹介元と情報を共有しながら評価を進める病院では、これまでの経過をふまえた判断がしやすくなります。治療方針や術後の注意点が紹介元にも伝わるため、日常的な通院先でも一貫したケアを受けられます。
M-TEERに対応する病院を東京で探す際は、紹介元と情報を共有しながら評価やフォローを進める連携体制が整っているかどうかを、あらかじめ確認しておきたい観点の一つとして押さえておくとよいでしょう。
6. 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科のM-TEERへの取り組み
ここまで整理した視点をふまえ、東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科の診療体制と考え方を紹介します。
6.1 どのような悩みを持つ方に向いているか
弁膜症や心不全と診断されたものの、専門的な治療の適応があるのか判断がつかず不安を抱えている方も多いはずです。かかりつけ医から「専門病院で相談を」と勧められても、どこへ行けばよいか迷う場面もあります。
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科は、そうした専門的な評価・治療の適応判断を希望する方に向き合ってきた大学病院です。「開業医の先生からのご紹介、同じ医療圏の病院からの紹介に加え、関東圏や全国から専門的な評価・治療を希望して受診」するケースがあります。
弁膜症・心不全・不整脈・構造的心疾患・カテーテル治療の適応判断が必要な症例では、紹介元と情報共有しながら評価し、心臓血管外科や関連職種を含めたチームで検討しています。専門的な評価や治療の適応判断が必要な場合には、紹介元医療機関と情報共有しながら評価を行います。
6.2 ハートチームと専門医による診療の特徴
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科の特徴は、専門医と多職種によるハートチームで治療方針を検討する点にあります。
診療では、以下のような手順を重ねています。
心エコー・経食道心エコー・CT・心臓カテーテル検査などの画像・検査所見に基づく評価 *
専門医・多職種によるハートチームでの診療方針の検討
診療前後の画像確認
カンファレンスでの症例検討
治療方針の再確認
紹介元医療機関との情報共有
日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本不整脈学会、日本超音波医学会、日本心エコー図学会などに所属し、循環器専門医・心エコー図専門医・不整脈専門医・超音波専門医/指導医が在籍しています。
構造的心疾患カテーテル治療について、「TAVIは100件、M-TEER40件、左心耳閉鎖40件、ASD閉鎖30件、PFO閉鎖30件、PVL閉鎖10件を年間目標としています」。
6.3 検討にあたって知っておきたい補足
M-TEERを検討するうえで知っておきたいのは、専門的な治療が常に最適とは限らないことです。適応はあくまで医学的に判断されるものであり、カテーテル治療や専門治療がすべての方に適するわけではありません。
「カテーテル治療や専門治療が適しているわけではなく、薬物治療や経過観察、外科治療、紹介元での継続診療が適切な場合もあります」。「医学的な適応が乏しい検査や治療、専門外の内容、緊急対応が必要な内容は適切な診療科や救急受診をご案内します。
特定の治療結果を保証する依頼や、患者さんの安全性より希望する治療だけを優先する依頼には対応できません」。まずは専門的な評価を受けたうえで納得のいく選択肢を一緒に考えていくことが、東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科の基本的な考え方です。
7. M-TEERの治療に関するよくある質問
M-TEERの検討にあたって、患者さんやご家族からよく寄せられる疑問を整理しました。いずれもこれまで説明してきた内容の要点を、判断に役立つ形でまとめ直したものです。
7.1 M-TEERの治療はどのような人に向いていますか?
M-TEERが向いているのは、高度の僧帽弁閉鎖不全症があり、外科手術のリスクが高いと判断される方です。
具体的には次のような方が候補になります。
高齢で開胸手術の負担が大きい方
併存症があり外科手術が難しい方
逆流が重く、体への負担の軽い治療を望む方
ただし、当てはまれば必ず受けられるわけではありません。弁の形態や全身状態を検査で確認し、チームで適応を判断したうえで決まります。
7.2 M-TEERの治療では入院期間や費用はどのくらいですか?
入院期間は、順調に経過した場合でおおむね1週間前後が目安です。開胸手術より負担が軽く回復も早い傾向にありますが、リハビリや薬の調整が必要なときは延びることもあります。
費用については公的医療保険が適用され、自己負担は年齢や所得区分によって幅があります。高額療養費制度も利用でき、上限を超えた分は払い戻しの対象です。具体的な金額は病院の窓口や保険者に確認しておくと安心です。
7.3 東京でM-TEERに対応する病院はどのように選べばよいですか?
後悔しない病院選びの軸は、体制の充実度です。まず、循環器内科と心臓血管外科、多職種が連携するハートチームで適応を検討しているかを確認しましょう。
次に、循環器専門医や心エコー図専門医が在籍し、経食道心エコーやCTなどの検査体制が整っているかも見ておきたい点です。加えて、紹介元の医療機関と情報を共有し、治療後のフォローまで見据えているかどうかが、長く付き合ううえで判断材料になります。
8. まとめ:東京でM-TEERの治療を検討する方へ
M-TEERは、開胸せずに僧帽弁の逆流を軽減する治療として、外科手術のリスクが高い方の選択肢の一つになっています。ただし、適応があるかどうかは、専門的な検査とチームでの評価を経てはじめて分かります。
不安なまま情報だけを集めて迷い続けるより、まずは専門的な評価を受け、自分の状態に何が適しているのかを知ることが次の一歩です。
M-TEERが適する方もいれば、別の治療が適する方もいます。どの道が最適かを一人で抱え込まず、専門医と一緒に考えていくことをおすすめします。気になる症状や紹介の相談があれば、循環器内科の専門外来に足を運ぶことから始めてみてください。
東京でM-TEERに対応する病院をお探しの方へ 大橋病院循環器内科のハートチーム
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科では、循環器救急・心不全・心臓弁膜症・虚血性心疾患・不整脈・構造的心疾患に対応し、心不全治療・カテーテル治療・心臓リハビリを日常的に実施しています。心エコーやCTなどの所見をもとに、患者さん一人ひとりに適した治療方針を検討しています。
まずは今の状態を正しく知りたいという段階からでも、紹介の相談を含めて受け止める体制がありますので、気になることがあれば専門外来にお問い合わせください。
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